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ワインと日本酒の有資格者がオススメする名所と美食の旅。イエメシ(おうちごはん)とワインのペアリングも。

フランス・ボルドー2014-06 シャトー・ランシュ・バージュ

1 ランシュ・バージュの歴史

シャトー・ランシュ・バージュ(Château Lynch-Bages)は、メドックの格付けが5級でありながら、その実力は2級に匹敵するといわれています。

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バージュ村模型

この土地でワイン造りが始まったのは18世紀になってからです。1749年から1824年まで、トーマス・ランシュ(Thomas Lynch)氏が所有し、「クリュ・ド・ランシュ(Cru de Lynch)」という名で優れたワインが造られていました。

1855年にはメドック格付け5級に選ばれます。

2006年にジャン・シャルル・カーズ(Jean-Charles Cazes)氏が、シャトー・ランシュ・バージュの4代目としてその当主を引き継ぎ、現在に至ります。

所有面積は約100ha、年間平均生産量約300,000本、平均樹齢は約30年とのことです。

2 栽培

ランシュ・バージュの畑

ランシュ・バージュの畑

2006年から人工衛星技術による土壌調査を進め、土質に合わせたブドウ栽培を行っています。 栽培している品種はカベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロー24%、カベルネ・フラン4%、プティ・ヴェルド2%です。

環境に配慮し殺虫剤を使わず、代わりに、防虫用のセクシャル・コンフュージョン(Sexcial Confusion・性攪乱剤)を用いています。これは、カプセルの中に、害虫のメスの合成フェロモンが入っていて、このフェロモンが空気中に放出されることで害虫のオスが混乱し、害虫の交尾率が下がって次世代の害虫の発生を減らすことができるという代物です。 これにより、害虫駆除のための農薬や殺虫剤を使わなくて済む、または少量の使用で済むようになるわけです。

もちろん、昔ながらのバラも植えています。バラは弱いので、いち早く畑の異常を受け、弱ることで生産者にその異常を教えてくれます。

ブドウ畑に植えられているバラ

元気なので問題なさそう。

なお、プティ・ヴェルドはマッサル・セレクション(Massal selection)を行っています。 マッサル・セレクションとは、畑のブドウ樹から優れた樹を複数種類選び、台木に接ぎ木して育てていく方法のことです。自分の畑に合った優秀な樹が代々継続して畑で育っていくというメリットがあります。

3 醸造

発酵、プレス、マロラクティック発酵乳酸菌リンゴ酸を、乳酸二酸化炭素に分解する発酵)の後、12月にブレンドが行われます。

発酵用のステンレスタンク

発酵用のステンレスタンク

年によりますが、樽で18か月熟成されます。 新樽比率は70%だそうです。

新樽比率とは、たとえば、新樽で1樽、古樽で1樽熟成して、その後ブレンドして瓶詰をしたとすると、「新樽比率50%」となります。

もちろん、新樽は1回しか使えませんので、毎回新しいものを購入する必要がありますが、かなりコストがかかるそう。

ワイン樽

樽熟成中

セカンドワインも作っています。

2008年からエコー・ド・ランシュ・バージュ(Echo de Lynch Bages)という名前になりました。

ランシュ・バージュとエコー・ド・ランシュ・バージュ

ファーストとセカンド

若木から獲れたブドウ、または一部の特定の区画のブドウがセカンドワインの原料になります。年によりますが、全体の25~40%がセカンドワインになります。

庭も美しい。

ランシュ・バージュの庭

ランシュ・バージュの庭

シャトーの隣では、ランシュ・バージュのワインが買えるショップや、レストランがあります。

ランシュ・バージュの隣のレストラン

隣のレストラン。来てみたい。

5 次のシャトーは・・・

シャトー・ローザン・ガシー(Château Rauzan-Gassies)を訪問します。

 

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