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1 戴冠の都市・ランス(Reims)
ランスはフランス北部グラン・テスト地域圏マルヌ県の基礎自治体です。
人口は約18万人(2013年)。
かつてフランス歴代国王の戴冠式が行われた教会(ランス・ノートルダム大聖堂)があるのは有名な話です。そのため、「戴冠の都市(la cité des sacres)」や「王の都市(la cité des rois)」という異名もあります。
ノートルダム大聖堂のほか、トー宮殿、サン・レミ聖堂などは、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
中でも、15世紀にジャンヌ・ダルクがシャルル7世を戴冠式に導いたノートルダム大聖堂には、毎年約150万人もの観光客が訪れています。
また、ランスは、多くの有名なシャンパーニュ・メゾン(メーカー)の拠点ともなっています。地下には、100㎞を超えるワイン・カーヴが張り巡らされています。
ランス近郊には、東ヨーロッパ線のシャンパーニュ・アルデンヌTGV駅があり、パリ・シャルルドゴール空港からのアクセスも比較的簡単です。
また、市内には2011年に整備された路面電車(トラムウェイ・デ・ランス)が走っており、地元民の足になっているだけでなく、観光客にとっても便利な乗り物です。
2 Champagne Montaudon
モントードンは、日本でも流通していますが、よく見かけるというほどの量ではないように思います。もし見かけたら、ラッキーです。1本手に取ってみることをお勧めします。
ここに来られたのは、ある料理人の方のつてがあって、たまたま来ることができました。1891年創業の歴史あるメゾンということで緊張しつつ、行ってみましょう。
ランス駅から徒歩で行けるところにメゾンがあります。
門をくぐると、お城のような外観の建物があります。
きれいなテイスティングルームに、5種類のアイテムが並んでいます。
モントードンの畑のサンプルです。
こうしてみると、違いを視覚で捉えることができるので、印象に残ります。
ここの品質がいいのは、ブドウの果汁のうち、いいものだけを原料にしているからなんだそうです。納得。
3 Maison Ruinart
ルイナールは、1729年にランスで創業した世界最古のシャンパーニュ・メゾンです。
その歴史は、ベネディクト派修道会の高僧ドン・ティエリー・ルイナール氏に始まります。同氏は、シャンパーニュの製法を甥のニコラ・ルイナール氏に伝え、その後も連綿と現在まで290年を超えて受け継がれています。
ルイナールの特徴としては、長い歴史のほかに、クレイエールの利用も忘れてはなりません。
クレイエール(Crayeres)とは、もともとは「白亜質土壌」という意味です。
雨が多い時は水はけが良く、雨が少ない時はスポンジのように雨を吸収して保水する性質の土壌です。
ここでは、白亜質土壌を掘った洞窟という意味で使っています。
ランスのクレイエールは、ローマ時代に約8㎞にわたって掘られた地下の石灰岩の石切り場だったものです。
このクレイエールが石灰質からなり、一定の温度と適度な湿度を保つほか、地下深くに位置するため振動も少なくワインの熟成に最適な環境であることに着目し、初めてシャンパーニュの貯蔵庫として利用し始めたのがルイナールといわれています。
現在では多くのシャンパーニュメゾンがクレイエールを熟成用の貯蔵庫として利用しており、2015年にはユネスコ世界遺産にも認定されました。
ここが正門です。守衛さんがいます。
中に入ると、広い敷地であることが分かります。
醸造施設に入ると、早速最新鋭の機械が。
さらに地下に降りていきます。
ルミアージュのため、ピュピトルにささったボトルたち。
光を当てると、澱が見えます。
外に出ると、ボトルで作ったオブジェが。そして、待ちに待ったテイスティングです。
ルイナールから出ると、近くにポメリーもあります。
4 ランス・ノートルダム大聖堂
ランス・ノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Reims)は、ランスにあるカトリックの大聖堂です。
隣接するトー宮殿、市内の聖レミ教会堂とともに1991年に、ユネスコ世界遺産に登録されました。
ランス・ノートルダム大聖堂は496年、フランク王国の初代国王であったクロヴィスが、ランスの司教だったレミギウス(聖レミ)から洗礼を受けてローマ・カトリックに改宗して以来、歴代フランス国王の戴冠の秘蹟を授ける聖別式が行われるようになりました。
816年にルイ1世が初めて戴冠式を行ってから、1825年のシャルル10世に至るまで、32人の王が聖別を受けたといわれています。
大聖堂で戴冠式を行った王には、15世紀ジャンヌ・ダルクに連れられて聖別を受けに来たシャルル7世や、ルイ13世、太陽王といわれたルイ14世、フランス革命で処刑されたルイ16世などがいます。
ランス・ノートルダム大聖堂は、シャルトル大聖堂やアミアン大聖堂と並び、フランス国内におけるゴシック様式の傑作の1つとされています。
最後の青いステンドグラスは、シャガールによるものですね。
最後に、シャンパーニュの旅に必携、訪れなくても訪れた気にさせてくれる本をご紹介します。ソムリエ試験やワインエキスパート試験の参考書としてもおすすめです。