1 この記事の対象となる方
ワインエキスパート試験を受験しようと考えている方のうち、次のいずれかに該当する方に向けて、ワインエキスパートに合格する方法をお伝えいたします。
勉強する内容については、書籍や、いろいろな有資格者やスクールのウェブサイトに掲載されているので、そちらをご覧ください。
・仕事や地方在住などで、ワインスクールに通えない。
・都市部在住であっても、ワインスクールに通うという選択肢を最初から除外している。
・最小限のコストで合格したい。
私は、2月ごろに受験を決意し、スクールには通わずに1回でワインエキスパート試験に合格しました。実際に実現できた方法であり、裏を返せば、特別な方法はとっていませんので、再現性は十分にあると考えています。
私自身、大学受験まで、様々な試験に失敗し続けて、苦い思い出しかありませんが、その後最難関といわれる国家試験に合格した経緯があります。
もともと勉強が得意ではなかったのに、勉強のやり方に気付いてからは、様々な知識を、独学で効率的に得ることができるようになりました。このやり方をワインエキスパート試験にも応用して合格できたので、これからワインエキスパート試験を目指したいけど、時間や費用で二の足を踏んでいる方に、少しでもお役に立てれば嬉しく思います。
2 ワインエキスパート試験のスケジュール
3月 出願
8月 1次試験(CBT。今は、試験後瞬時に合否が分かります。)
10月中旬 2次試験(テイスティング)
11月上旬 2次試験合格発表
(最新の情報は、日本ソムリエ協会のウェブサイトをご覧ください。)
3 1次試験対策
(1) 教材
ソムリエ協会の教本(以下「教本」といいます。)と各種受験テキスト(以下「テキスト」といいます。)で十分です。テキストは、ご自分の気に入ったもので構いません。
なお、教本は情報量が多いので、全体を見るには、テキストがベターですが、テキストでは箇条書き的な文章が多いので、理解を深めるには、教本を読むという使い方が良いと思います。
(2) 問題集
ベテランワイン講師の山崎和夫先生が作成した、 ワイン受験.comで必要十分です。
お値段も、1年間で5,500円(税込み)ですので、コストの最小化にも最適です。
また、7月ころに、新しく教本で加わった国の問題などが補充されるので、出版物では対応しきれていない分野の対策も可能です。
(3) 実際の勉強方法
ほとんど脈絡のない大量の言葉を覚えなくてはなりません。
読む、書く、解く、をひたすら繰り返しましょう。全分野を何度も繰り返しましょう。
どのくらいやればいいのか、という質問を受けますが、個人差があるので、何時間、何回、何問やれば十分などという安請け合いはできません。できるまで繰り返すのです。
また、例えば、「6月の第2週はドイツを完璧にしよう」という計画をたてて、それ以外の時期はまったくドイツに触れないのもいけません。絶対に本番のときは忘れています。
大事なことは、全分野を何度もやる、ということです。
ただし、次のことを少し意識しましょう。
読む場合は、他人に説明できるようになることを意識しましょう。
マーカーで線を引くことは、キーワードを目立たせるという意味ではよいと思いますが、内容に慣れていないと結局マーカーだらけになるので、あまりお勧めしません。何回も読んだ方が、はるかに効果的です。
書く場合は、ただ本を写すことはあまり意味がなく、そもそもそんな時間はないと思います。まず覚えた言葉(例:フランス)を白い紙に書き、そこから連想できる言葉(例:ブルゴーニュ、ボルドー)を木のようにつなげていきましょう。何も出てこなかったら、覚えていない証拠です。本に戻って確認しましょう。
これは「メモリーツリー」という暗記の方法で、あの「ドラゴン桜」でも紹介されていいます。
この方法は、地図問対策でも使えます。おそらく、日本人ならば日本地図の概要(例:北海道、本州、四国、九州)は書けると思います。そこから、ブドウの栽培エリアや主要品種をフリーハンドで書ければ完璧、というわけです。
他の国でも同じように地域の場所・形や川の流れ方、特徴的な品種などが書けるようになれば、怖いものなしです。
ただし、私もそうですが、時間がなくなってくると、書くという作業より、ひたすら読み、問題を解くということに重点をおかなければならなくなってきます。最初から勉強時間が取れないという方も同じです。
その場合は、教本なり、テキストなりに自分の理解したことを直接書き込むという方法が良いです。情報を一元化できるという点で、十分効果的です。情報の一元化は、情報に触れる回数を必然的に増やす最適な方法です。
解く場合は、正答率ゼロ%でも気にしないようにしましょう。
現に、私も教本を読んだだけで、ゼロ%の分野は何個もありました。 重要なのは、問題を読んで適切な選択肢を選ぶという作業に慣れることと、間違った問題は、何が正解で、なぜ正解で、他の選択肢はなぜ誤りなのか、を本に戻って確認することです。これを繰り返せば、正答率は上がっていきます。
逆に、本に戻らないと、問題を解く意味がありません。また本に戻ることによって、成果が上がらないまま大量の問題を解き続けるというスパイラルに陥らなくて済みます。
4 2次試験対策
普通に考えれば、1次試験までは、1次試験対策をし、合格後は2次試験対策をすることになります。基本的には、それで構いません。
もっとも、普段ワインを飲むときから、品種、産地のほか、2次試験で求められるテイスティングコメントを意識するようにしましょう。
2次試験対策では、次のいずれかの本がお勧めです。
佐藤さんの本は、私が使っていたものです。
谷さんの本は、最近出版され、情報も新しいという点で、お勧めです。
さて、1次試験に合格した時から、2次試験対策に本腰を入れます。
まず、手を広げてはいけません。 「今年は●●が出る」というような怪情報が出回りますが、無視しましょう。
基本的な品種(白:シャルドネ、リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン。赤:シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、メルロ)の特徴を確実に捉えられることと、嗅覚や味覚で捉えた特徴を言語化できることを目標にします。
ちょっとマイナーな品種は、当たればラッキーですが、普通はそんな品種を本番で回答することは、特に確信がない限り、博打に等しいと思います。
基本的な品種が当たり、ぶれないテイスティングコメントができれば合格します。
なお、極端な合格例として、品種を全部外したけど合格した、というような事例がありますが、あくまで例外的なものとお考え下さい。
私は、品種判別のために、コノスルをネット通販で購入しました。
また、アカデミー・デュ・ヴァンのワインショップ「 カーヴ・ド・ラ・マドレーヌ」でも、解説付きのワインセットが販売されており、特に2次試験の直前期にはラインナップが充実してくるので、絶対に失敗したくない方に、おすすめです。
このブログのサイドバー(スマホの方は記事の下)の「RECOMMENDATIONS」にもリンクを貼っておきます。
また、本番では、INAOのテイスティンググラスが使われるので、練習用に最低4脚は持っておくべきです。INAOについては、過去記事ご参照。
小瓶に分けてテイスティング用に保存する方法もあり、予算に余裕があれば小瓶を利用するのがベターですが、私はそうはせずに、ボトルのまま冷蔵庫に保管し続けました。もちろん、風味の劣化は実感しますが、それでも、なんとか試験日までそれでやりすごしました。
マイナー品種は、日々の食事と共に楽しみながらちょっとテイスティングコメントを確認してみたり、ワインバーなどで品種や国を特定して注文するのも良いと思います。お店ならば、ソムリエさんに、自分のコメントを聞いてもらうのも良い訓練になるでしょう。
5 まとめ
結局、試験に合格するには、その全範囲を何度も繰り返すことが重要です。1次であっても、2次であっても、確信をもって解答できるようになるまで繰り返しましょう。
以上の方法をとれば、ワインエキスパート試験に合格することができます。しかも、独学かつ最小限のコストで。
それでも、どうしても1人では不安、ペースメーカーがあった方が良い、という方には、【アカデミー・デュ・ヴァン】のオンライン講座を受講されてみてはいかがでしょうか。新型コロナウイルスの蔓延により通学講座の開催そのものが困難になったため、オンライン講座も充実したものになっています。
この記事が、受験をお考えのあなたにとって、少しでも助けになれば、と願っております。
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